発達障害者支援法案の国会中継(5)
12月1日の参議院内閣委員会を参議院インターネット審議中継で一通り視聴しました。
全会一致で参議院法案として上程する旨、可決されました。
委員の質問に対して、厚生労働省、文部科学省の政府参考人とは別に立法の中心に当たった福島豊議員はじめ「発達障害の支援を考える議員連盟」の議員の方々から(衆議院内閣委員長代理として)の答弁がありました。衆議院内閣委員会と同じ繰り返しの質問になる部分もありましたが衆議院内閣委員会よりも更に具体的かつ発達障害者や保護者のおかれている現実や思いに踏み込んだ質問や答弁が多かったと思います。
※下線部追記
採決は短時間、簡単に終わったかと思いましたが、その後、すかさず、今回、質疑に当たった岡崎委員から附帯決議案の動議が出ました。驚きました。そしてこの内容が、衆参両議院内閣委員会の質疑の中で確認された法案の理念や取り上げられた課題についてその考え方や方向性を示しており、7つの項目は条文に明文化されなかったものの重要なものとして認識された内容でした。法案におけるノーマライゼーション、発達障害者の権利擁護の考え方が明確に打ち出されている点が特徴的です。こちらも全会一致で附帯決議案とする旨、可決されました。
障害者基本法第三条の基本的理念を踏まえた附帯決議案(要約しましたので法文通りではありません)
1.早期発見について、発達障害者に対する早期の発達支援に資するためのものであることに留意の上、障害者福祉、医療、保健、保育、教育に関わる関係者の理解の促進と認識の共有を図る
2.発達障害児に対する保育、教育的支援と支援体制の整備に当たっては発達障害児が障害のない児童とともに育ち学ぶことを基本としつつ発達障害児及び保護者の意思とニーズを最大限尊重する
3.発達障害者の就労を支援するための整備を進めるに当たって障害者の就労の機会確保に配慮し、障害者雇用促進法について必要な見直しに速やかに着手する
4.発達障害者およびその家族に対する相談、助言体制を可及的速やかに拡充し、医療、保健、福祉、教育、就労その他の支援を行う専門家の育成の必要性にかんがみ予算措置を含む適切な措置を講じる
5.発達障害者に対する支援の実効性を確保するため障害者基本計画の必要な見直しを行うとともに都道府県、市町村が策定する障害者計画についても本法の主旨が活かされるようにの必要な助言を行う
6.発達障害者に対する施策のあり方について医学的知見や介助方法の向上等国際的な動向等に十分留意し、常に見直しに努める
7.包括的福祉法制及び施策の検討に当たっては、障害者の自己決定権及び発達の権利を含む権利利益の尊重と侵害に対する迅速かつ効果的な救済、経済、社会、文化そのほかにおける分け隔てのない参画の促進と自立に向けたきめ細かい支援、障害を理由とするあらゆる差別の排除と差別のない社会の実現を基本的視点として行う
なお、衆議院内閣委員会の24日の議事録が衆議院HPの会議録にUPされました。じっくり、読まれる方はこちらをどうぞ。とても大切なことがたくさん記録されています。
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第161回国会 内閣委員会 第9号
平成十六年十二月一日(水曜日)会議録より
発達障害者支援法案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、障害者の個人の尊厳にふさわしい生活を保障される権利等を確認した障害者基本法第三条の基本的理念を踏まえ、次の事項の実現を期すべきである。
一、発達障害の早期発見は、発達障害者に対する早期の発達支援に資するためのものであることに留意し、障害者福祉、医療・保健、保育・教育にかかわる関係者の間における発達障害に関する理解の促進と認識の共有を図ること。
二、発達障害児に対する保育及び教育的支援と支援体制の整備に当たっては、発達障害児が障害のない児童・生徒とともに育ち学ぶことを基本としつつ、発達障害児及びその保護者の意思とニーズを最大限尊重すること。
三、発達障害者の就労を支援するための体制の整備を進めるに当たっては、障害者の就労の機会の確保に配意し、障害者の雇用の促進等に関する法律について、必要な見直しの検討に速やかに着手すること。
四、発達障害者及びその家族に対する相談・助言体制を可及的速やかに拡充し、及び医療・保健、福祉、教育、就労その他の支援を行う専門的人材を早急に育成する必要性にかんがみ、予算措置を含む適切な措置を講じること。
五、発達障害者に対する支援の実効性を確保するため、障害者基本計画についての必要な見直しを行うとともに、都道府県及び市町村が策定する障害者計画についても本法の趣旨が活かされるように、必要な助言等を行うこと。
六、発達障害者に対する施策の在り方について、医学的知見や介助方法の向上等、国際的な動向等に十分留意し、常に見直しに努めること。
七、包括的な障害者福祉法制及び施策の検討に当たっては、障害者の自己決定権及び発達の権利を含む権利・利益の尊重と侵害に対する迅速かつ効果的な救済、経済、社会、文化その他の分野における分け隔てのない参画の促進と自立に向けたきめ細かい支援、障害を理由とするあらゆる差別の排除と差別のない社会の実現を基本的視点として行うこと。
右決議する。
Posted by: しぇあ | 2004.12.14 15:03